【嶋津幸樹グローバルコミュニケーション論・番外編】嶋津先生に聞いてみた!英文法学習に関する10の質問

コミュニケーションのルールは分かってきたけど、英語を話すときに、どうしても文法が気になってしまいます

英文法の勉強ってすごくニガテなんですよね…

嶋津先生
嶋津先生

その気持ち、すごく分かります。今回は、どうしてそう感じてしまうのか、私の学習体験を元にお話しますね。また、学習のアドバイスも書いていますので、ぜひ参考にしてください!

この連載記事では、嶋津幸樹先生の著書『世界中で使える 超英会話コミュ力』をもとに、実際に嶋津先生に監修いただいて、世界で通用するコミュニケーションの方法についてご紹介をしてます。

今回は番外編ということで、英文法学習に関する10の質問を嶋津先生にぶつけてみました。ピアソンELTティーチャーアワード2017を受賞した日本人英語教師の嶋津先生が自分自身の英文法の学習と英文法の指導の経験についてお話ししてくれていますので、ぜひご確認ください。(この記事はCambridge University Press and Assessmentのインタビュー記事を改変加筆したものです)

この記事の監修者

英語教育起業家

嶋津幸樹

1989年山梨県生まれ。17歳の時に海外進学塾を創業。青山学院大学文学部英米文学科卒。ロンドン大学教育研究所応用言語学修士課程修了。ケンブリッジ大学認定英語教授資格CELTA取得、IELTS 8.0取得。Pearson ELT Teacher Award 2017受賞。大学講師やIELTS講師として活動中。英字新聞ジャパン・タイムズAlpha連載、ブリティッシュ・カウンシル公認IELTSエキスパートとして記事の執筆。著書は15冊以上。

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最初に英語を学び始めたのはいつですか?その時の年齢、英語を始めたきっかけ、そしてそれがどのような経験だったかを教えてください。

私は典型的な日本の英語教育を受け、中学校に入学した13歳の時に初めて英語のアルファベットを学びました。山梨の田舎に生まれ育ったため、特別な英語教育を受けたわけではなく「これは帽子ですか?」「いいえ、違います」といったような英語から日本語に訳す作業を繰り返していた記憶があります。その質問は帽子屋での会話の一部で、クラス全員(約40人)がそれを暗唱しました。授業の主な焦点は、教科書の英語を順番に日本語に翻訳することと、その後の定期的な試験で受動的なスキル(主にリーディング、多少のリスニング)が評価されることでした。私は英語を実際のコミュニケーションのためではなく、試験に合格するためだけに学んでいました。

日本の文部科学省はついに我が国の英語教育の現行システムを刷新する計画を立てています。2020年には公立小学校の5年生と6年生に英語が必須科目となり、指定された教科書と正式な全国統一の成績が導入されました。この計画についての一つの懸念は言語教育の十分な訓練や知識がない小学校の教師が英語を教えることを強いられることです。他にも制度的な問題がいくつかありますが、いずれにしても抜本的な英語教育改革が必要です。

最初に英語を学び始めた時、文法は明示的に教えられましたか?そしてどのように教えられましたか?

はい、英語の文法はほとんどの日本の学校で明示的に教えられました。文法用語を覚え文脈なしで文法の練習や演習問題を繰り返しました。学校では事前に決められた会話の短い文脈から文法が教えられました。宿題として教科書の英文をノートに書き写し、その隣に日本語訳を書くという課題が出され、授業中は家で準備したテキストと日本語訳を読み上げ、教師はそれにフィードバックを提供するという形式でした。そこから学校での英語教育は大幅に改善されましたが、私が学生だった頃はこれが典型的な授業の一つでした。

振り返ってみて、教えられた文法の方法が言語学習に役立ったと思いますか?どのように(あるいはどのようにして)役立ちましたか?

認知スキルの観点から言えば、私は自分の文法に常に過剰に意識的であり、自分自身の発話をセルフコレクトする傾向があり、流暢さを妨げる要因にもなっています。英語母語話者がこのような行動パターンを示すことはあまりありませんが、このメタ認知スキルこそが言語学習の経験の一部であり、私の文法知識と正確さの役に立っています。正確さを追求した明示的学習はネガティブなことばかりではありませんが、より多くの時間を流暢さの向上にあてるべきだと考えています。

学習者として特に素晴らしい(またはひどい)英語の授業の具体的な例を覚えていますか?なぜそれがそんなに記憶に残っているのですか?

高校の時のプロジェクトベースの授業を覚えています。私たちはグループの一部として独自の四字熟語を作る課題を与えられました。そして最終的にはそれを英語でクラス全体に説明しなければなりませんでした。プロジェクトが日本語で行われ、プロセスが必要に応じて英語で行われたため、言語を切り替えることができたため、認知的負担が軽減されました。

常に英語を学ぶのが楽しかったですか?もしそうでなければ、言語を学ぶ価値を実感した瞬間はありましたか?

私の人生で特に変わったと感じたのは、17歳の時に一人で初めてオーストラリアに行ったときです。私は、ホストマザーが何を話しているのか完全に理解できたにもかかわらず、自分自身を全く英語で表現できないことに気づかされました。それ以来、私の英語に対する考え方は一変しました。私は人工的な試験のためではなく、人と英語で交流できるようになりたいと思うようになったのです。

クラスルームの外で英語のスキル、特に文法を向上させるために何をしましたか?

文法スキルを強化するために、日本の学生は通常、学校の授業に備えるための塾に通います。私は週に3回塾に通い、試験に必要な文法だけを勉強していました。しかし、コミュニケーションの重要性に気づいた後、注意を切り替え、YouTubeのビデオ、ニュース、ドキュメンタリーをすべて英語で見るようになりました。

教師として、英語文法の指導にどのように取り組んでいますか?なぜそのアプローチを選んだのですか?

学生は自分が使った英文法に興味を持ち始めると、自発的に探究し始めます。演繹的アプローチでルールを暗記させるのではなく、ターゲットとする文法を使う機会を与えるのが最も効果的だと感じています。これにより、さらに興味を持つようになります。もちろん、教師は教えたり生徒と話したりするのが好きですが、学習のオーナーシップを学生に渡すことには多くのメリットがあります。これが発見を通じて学習を最大化するための最良の機会です。

文法に苦労している英語学習者にアドバイスやヒントを教えてください。

文法を学ぶ最良の方法は、実際の文脈で使ってみることです。そしてその文法を使う状況に追われることが重要です。また人に教えることも重要であり、友達に文法を明示的に説明できれば、それはルールを理解していることを証明するだけでなく、あなた自身の理解も深まります。このような小さなことが英文法の知識獲得に繋がります。

あなたが今も苦労している英語文法の特定のポイントはありますか?

未だにa, an theなどの品詞を正しく使うことができません。それ以外は自動的にセルフコレクトできると感じています。三人称を使い忘れる度、繰り返してセルフコレクトしています。私の経験から、言語への接触は初期段階で暗黙的に習得されるべきです。もっと早く英語を学び始めていればよかったと思います。

最後に英語文法を教えている人にアドバイスをするとしたら?

英文法は学生がそれに興味を持てば楽しいものです。学生に文法を比較し分析する機会を提供するのが、学生の関心を引く最良の方法です。私はいつも学生に英語の歴史を簡単に説明し、最も興味深い部分を学生が独自に学ぶようにしています。学生に自分で最良の質問に答えさせてください。そうすれば、彼らから最良の答えを引き出すことができます。

嶋津先生
嶋津先生

私の経験やアドバイスで、少しでもお役に立てることがあれば嬉しいです!

追伸:実際の文脈を想定して文法を学べる教材「Grammar in Use」について、こちらの記事でご紹介しているので、ご参考になりましたら幸いです。

次回の連載では、「グローカル3 技能」のひとつである「自分軸」について、相手と気持ちよくコミュニケーションがとれるようになるためのテーマや具体的案英語表現を詳しく解説していきます。

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