シャドーイングの効果的なやり方を詳しく解説!続けるための5つのコツも紹介

シャドーイングの効果的なやり方がわかりません…

やってみたけど、難しくて続かないのが悩みです。

シャドーイングは英語学習法の一つで、リスニング力やスピーキング力を向上させる効果が高いと言われています。

しかし、「シャドーイングのやり方がわからない」「やってみたけど難しくて続かない」といった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。この記事では、効果の出るシャドーイングのやり方を解説します。

続けるための5つのコツも紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

この記事の監修者

英会話カウンセラー

Taka

大学では英語教育学を専攻。卒業後は英会話カウンセラーとして、これまでに1,000人以上の方に英会話学習のサポートを行っている。ひとりひとりの学習に寄り添い、英語を楽しく話せるようになってもらうこと、海外との新しい出会いを楽しんでもらうことを大切にしている。

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シャドーイングとは?

英語のシャドーイングとは、聞き取った英語をすぐ後について真似する学習法です。聞こえてきた音を「影のように追いかける」ことから「シャドー(影)イング」と呼ばれます。もともとは同時通訳者のトレーニング法でしたが、その英語力向上の効果の高さから、資格取得を目指す学習者やビジネスマンにも定評があります。

シャドーイングは「聞く」と「話す」を同時に行うため、リスニングとスピーキングの両方を鍛えたい方におすすめの学習法と言えるでしょう。しかし、全くの英語初心者には難しいかもしれません。シャドーイングは文字を見ないで聞き取らなければならないため、ある程度のリスニング力と、内容を理解するための語彙力・文法力が必要となるからです。

「シャドーイングをやってみたけど全く聞き取れない、内容がわからない」という方はまず基礎的なリスニング力と語彙力、文法力を鍛えることをおすすめします。

シャドーイングの効果的なやり方

シャドーイングのやり方は2種類

シャドーイングには大きく分けて2つのやり方があります。

プロソディー・シャドーイング 

プロソディー・シャドーイングとは、「聞こえてきた英語を同じ発音、リズム、イントネーションで正確に復唱する」やり方です。一般的に「シャドーイング」と言われる学習法は、プロソディー・シャドーイングのことを指すことが多いようです。

プロソディー・シャドーイングは英語の意味を意識する必要はなく、あくまで聞こえてきた英語を「正確に」「素早く」復唱することに重点が置かれます。

コンテンツ・シャドーイング 

コンテンツ・シャドーイングは、「英語の意味を理解すること」に重点が置かれた学習法です。聞き取った英語の意味を把握し、ニュアンスを理解していくため、英語脳を作るのに適した学習法と言われています。

プロソディー・シャドーイングほど正確な発音は求められませんが、意味まで理解するため、より高度な英語処理能力が必要です。

まずはプロソディー・シャドーイングがおすすめ

シャドーイングをやる場合は、プロソディー・シャドーイングからはじめるのがおすすめです。

  1. まずはプロソディー・シャドーイングで「英語を素早く正確に聞き取り発音する力」を身につけましょう。
  2. その後にコンテンツ・シャドーイングで「意味をつかむ力」を身につけていきます。これにより、英語の処理能力は大きく向上します。

5ステップ!効果的なシャドーイングのやり方

シャドーイングで効果を上げるためには、段階を踏むことが大切です。ここでは5ステップに分けて解説します!

①音声のみを聞く

まずはスクリプト(英文)を見ないで音声だけを聞きましょう。シャドーイングは、何よりもまず音声に集中して聞くことが大切です。このとき使用する教材は、「初めて聞いて半分くらい聞き取れる」レベルのものがおすすめです。

1回目に聞いて全く聞き取れないような教材はレベルが高すぎ、何度やってもおそらく聞き取れるようにはならないため、おすすめしません。1回目で全部聞き取れなくても大丈夫ですので、あせらず何回か聞いてみましょう。1回目より2回目、2回目より3回目・・・と、だんだん聞き取れる部分が多くなっていくはずです。 

発音、リズム、イントネーションをしっかりと聞いてインプットしましょう。 

②スクリプトを見ながら聞く 

なんとなく聞き取れるようになったら、スクリプトを見て「どこが聞き取れなかったのか?」を確認します。

知っている単語なのに聞き取れなかった場合は、リエゾン(連結)やリダクション(脱落)など、「音の繋がり・変化」が聞き取れていません。リエゾンとは、前後の単語の音が繋がって発音されることをいいます。また、リダクションとは、発音されない音があることをいいます。英語は、日本語のように全ての音を同じリズムで発音するのではなく、このような音の変化を起こすことが特徴です。まずはそのことを自覚し、意識的に英語の音を理解・発音することが大切になります。

知らない単語があった場合は、語彙力や文法力の不足が原因です。シャドーイングを何度か繰り返すと、自分の弱点が見えてきますので、弱いところは個別に学習すると良いでしょう。英語の内容をしっかりと理解したら、スクリプトを見ながら再度聞いてください。意味がわかると、さっきまで聞き取れなかった音が聞き取れるようになっているはずです。一語一句までしっかりと確認し、意味を理解しながら聞きましょう。 

③一文ずつリピートする

語句と意味が理解できたら、一文ずつ音声を流してリピートしていきます。一文流してはリピートし、また一文流してリピートする、を繰り返します。英語のスクリプトは見ても構いません。

このとき大事なのは「英語の意味をしっかり理解しながらリピートする」ことです。意味を考えながら、慣れてきたら発音にも注意してください。最初はなかなか同じスピードでは発音できないかもしれませんが、その場合はスピードを少し遅くしても大丈夫です。英語の意味と音を、ここでしっかりと身につけましょう。 

④音声に合わせて同時に発音する 

一文ずつリピートできるようになったら、音声と同時に発音していきましょう。この同時に発音する学習法は「オーバーラッピング」と言って、英語独特のリズムやイントネーションを身につけるのに大変効果的な学習法です。

大切なのは「同じスピード、同じリズム、同じイントネーションで」を意識し、もとの英語をそっくりそのまま真似ることです。スクリプトは見ても構いませんので、出来なくても止めないで続けてください。つまずいてしまう箇所があなたの弱点ですので、重点的に練習しましょう。もとの音声と全く同じように、同時に発音できるまで繰り返します。 

⑤スクリプトを見ないでシャドーイングする

ここまで出来たら、いよいよシャドーイングの練習です。スクリプトは見ないで、聞こえてくる音声のすぐ後について発音していきます。ここでつまずいた場合は、スピードを落としたり、③や④に戻って再度練習します。自分のレベルに合わせて、納得できるまで行ってください。 

シャドーイングで得られる3つの効果

①発音がネイティブのようになる

シャドーイングは、英語特有の発音、リズム、イントネーションなどを全く同じように真似ていきます。そのため、ネイティブスピーカーの発音を正確に捉え、そのリズムや抑揚を真似ることで、自然な英語の響きを身につけることができます。

また、シャドーイングは、話される速さに合わせて発話する必要があるため、反応速度や発音スキルを同時に鍛えることができます。これにより、英語の音の連結や弱化、アクセントのパターンなど、日常会話で頻繁に使われる音声の特徴を体で覚えることができます。

さらに、シャドーイングは繰り返し行うことで、舌や唇の筋肉が英語の発音に適応するためのトレーニングにもなります。この物理的な練習が、発音の正確性を高め、よりネイティブに近い発音を実現できるようになるのです。

シャドーイングを定期的に練習することで、聞き取りやすく、自然な英語の発音に近づけることができます。

②スピーキング力が向上する

何度もシャドーイングをして英語を話すことで、スピーキング力も向上します。

英語には日本語にない母音や音の変化が多くあるため、実際に口に出してみると、想像以上に英語を話すのは難しいと感じるでしょう。そのため、スピーキング上達のためには、とにかく実際に口に出して発音することが大事です。

さらに、シャドーイングは意味も考えながら英語を話していくので、「理解して、話す」という英語脳を作る効果が高いことがわかっています。

英語を話すための口と脳のトレーニングになるため、スピーキング力が向上するのです。また、いくつもの文をシャドーイングしていくうちに、英語の定型の表現を覚えることができるので、実際の会話でもスムーズに話せるようになります。

③リスニング力が向上する

シャドーイングはリスニング力の向上にも効果的です。

日本人が英語を聞き取れない大きな原因は

  • スピードについていけない
  • 音の変化(リエゾンやリダクション)がわからない

と言われています。シャドーイングは聞こえてくる英語を「そのままそっくり」真似るので、英語特有の音の変化やイントネーションを聞き取れるようになるのです。

リスニングに関して、「自分が発音できる言葉は聞き取れる」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。自分が発音できない単語は、耳で聞いても意味のある音として認識されないので、聞き取ることができません。シャドーイングにより、自分で発音できる言葉が増えていくと、英語のリスニング力は飛躍的に向上します。 

シャドーイングを続けるための5つのコツ

英語のシャドーイングは、英語力向上に非常に効果のある学習法ですが、初心者にはやや難しい学習法と言えます。そのため、効果的なやり方を知らないと、続けられずに挫折してしまう、といったことにもなりかねません。ここでは、シャドーイングを続けるためのコツを紹介します。

無理なく続けていけるよう、ぜひ参考にしてください。

①自分のレベルに合った教材を選ぶ

シャドーイングは英語を「聞いて理解してすぐ発音する」ので、難易度の高い学習法です。

教材を選ぶときは、スクリプトを読んでみて、少しやさしいくらいかな?と思えるものからはじめることをおすすめします。読んだときはやさしいと思っても、実際にネイティブのスピードで聞いてみると聞き取れない!ということはよくあります。単語の音の変化に慣れていない日本人には、やさしい文章でも聞き取れないのです。

じっくりと読めば意味が理解できる、というレベルの教材はおすすめできません。スクリプトを見て、大体の意味がわかる教材からはじめましょう。やさしい教材を完璧にシャドーイングできるようになったらもう少し難しい教材を、というように、段階を追って練習するようにしてください。

②ドラマや映画を使う場合は要注意

シャドーイングを勉強するなら、楽しい教材がいいですよね。

わかります。でも、英語のドラマや映画は、教材には向いていないことがあるので、注意が必要です。

英語のドラマや映画の会話は自然な日常会話ですので、スラングなどが多くあります。また、短くても1話が数十分ありますので、効果的なシャドーイング学習を行うためには、1話だけでもものすごく長い時間必要となります。

すでに日常会話に支障のない英語中上級者であれば別ですが、そうでない場合は正しい文法を使っているシャドーイング教材から始める方が、学習のハードルは下がります。シャドーイング用のテキストはレベル別にたくさん出ていますので、ぜひ色々見て、正しい文法を使っている教材からはじめてください。

ドラマや映画でシャドーイングをされる場合は、短く区切って、完全に真似ができるようになるまで繰り返し練習した上で次に進むようにしてください。

③同じ教材を何度も聞く 

シャドーイングはテストのように正解がないので、できているのかどうか、自分ではなかなかわからないかもしれません。また、同じ教材を何回か繰り返すと、単調で飽きが来ることもあるでしょう。

しかし、次から次へと教材を変えることはあまりおすすめできません。シャドーイングは聞こえてきた英語を即座に聞き取り、意味も理解しながら反復しますので、できるようになるには繰り返しの練習が必要です。

頭で考えることなく、自動的に口から英語が出るまでやり込むことが必要なのです。試しに、「もうできるようになった」と思った教材をいったん止めて、1週間後にまたやってみてください。1週間前と全く同じようにスラスラと言えない場合は、スムーズに口から出てこない、という場合は再度その教材を練習しましょう。

自分の声を録音して、もとの音声との違いを客観的に聞いてみる方法もおすすめです。

④興味のある題材を選ぶ

シャドーイングは繰り返しの練習が必要ですので、忍耐のいる学習法です。

楽しく続けるためには、自分の興味がある題材を教材として選ぶといいでしょう。例えば、シャドーイングの目的がTOEICなどの資格取得であれば、TOEIC対策用テキストの音源が有効です。ビジネスマンであれば、英語のニュースなどもおすすめです。

筆者もシャドーイング経験者ですが、わたしの場合は仕事で使う必要があったため、「CNNニュースリスニング」という教材を使用しました。これは実際の厳選されたCNNのニュースを約30秒にまとめた教材で、

  • 本物の放送で使われた音声
  • ナレーターがゆっくりと読み直した音声、区切りごとにポーズ(間)入り
  • ナレーターがゆっくりと読み直した音声、ポーズなし

という3つの音声が入っています。

まず本物の放送を聞く(かなり聞き取れません!)、次にスクリプトを見ながらゆっくり区切りごとに聞く、次に区切りなしで聞いて真似する・・・と、段階を追っていく大変わかりやすい教材です。最初のニュースを聞いたときは半分以上聞き取れず、ほとんど真似ることも出来ませんでしたが、約3カ月後には大体聞き取れるようになりました。本物のニュースが題材だったため、「あ、このニュース知ってる!」と興味が続いたのが継続できた大きな理由の一つだと思っています。

ぜひ、ご自分の興味のある教材を探してみてください。

⑤アウトプット学習を組み合わせる

先に解説したように、シャドーイングは正解がわからないので、「上達しているのかな?」と不安になることもあります。一人で同じ教材を繰り返していれば、不安にもなりますし、飽きてくることもあると思います。

そのため、ぜひアウトプット学習を組み合わせることをおすすめします。英語の上達は、「インプット7割、アウトプット3割」と言われています。アウトプットの方法としては、英会話スクールやオンライン英会話などのほか、最近では無料の英語学習アプリもたくさんあります。

ぜひオンライン英会話などを活用してアウトプットの機会を作り、上達を実感しながら楽しく続けてください。 

シャドーイングの効果的なやり方まとめ

この記事ではシャドーイングの効果的なやり方5ステップを解説しました。

  1. 音声のみを聞く
  2. スクリプトを見ながら聞く
  3. 一文ずつリピートする
  4. 音声に合わせて同時に発音する
  5. スクリプトを見ないでシャドーイングする

シャドーイングを効果的に行うことで、ネイティブのような発音を身につけ、スピーキング力、リスニング力を大きく伸ばすことが可能になります。ぜひ、この記事を参考にシャドーイング学習を取り入れてみてください。

シャドーイングは根気のいる学習法です。続けるためのコツもぜひ参考にされて、焦らず楽しく学習してくださいね!